指導方針
中学受験社会で要求される知識は、たしかに膨大なものです。ある程度は、まったくの暗記に頼らねばならないことも事実です。ただし、個々の学習事項はそれぞれ孤立したものではなく、相互に、しばしば大変興味深いかたちで関連していることに気づいてください。たんなる情報ではなく、生きた知識を身につける楽しさが分かるはずです。
例1.豊島岡女子中学校
一票の格差について問題となるのは、都市部の過密地域と比較して、農村部の過疎地域における一票の価値が重くなっていることです。したがって、この格差を縮小するためには、人口の少ない県に割り当てられた議席を減らす必要があります。合区の対象となったには、鳥取県と島根県、そして高知県と徳島県です。これは47都道府県で人口の少ない県の順位、1位・鳥取県、2位・島根県、3位・高知県、4位・徳島県をそのまま反映していることに気づきましょう。なお、香川県は面積の最も小さい県です。きわめて基本的な地理の知識を適切に運用することで、やや難問といえる時事問題に対応できる例といえるでしょう。
例2.本郷中学校
吉備真備(695-775年)という人物について詳しく知っている小学生は、ほとんどいないと思います。通常、テキストにも載っていない人物の出身地を問うという、対応不可能な、捨てるべき非常な難問といえるのかもしれません。ただし、「桃太郎」の物語中の「きびだんご(黍団子)」が、江戸時代以降に吉備地方(およそ現在の岡山県)で生産されるようになった「吉備団子」と結び付けられたため、この物語が岡山県と結び付けられるようになったという経緯があります。岡山県に旅行に行った知人から、おみやげに「吉備団子」をもらったことのあるひともいるのではないでしょうか。じつはこの、かなりあいまいな知識から、吉備真備の出身地を現在の岡山県と推理することができれば、正答となるわけです。
知識を増やしていくことは当然のことながら大切でありますが、自分の持っている(なけなしの)知識を効果的に運用することで、なんとか正答にこぎつける能力も同じくらいに大切です。この能力を磨くためには、学習事項を孤立したものとしてあつかわず、相互に関連づけて理解してゆくことが肝要です。また、このように意識して学習するほうが、きっと楽しいと思いますよ。
年間カリキュラム(全42回)
地理分野
No. | タイトル | |
第1回 | 日本の産業 | 農業 |
第2回 | 水産業 | |
第3回 | 林業・資源 | |
第4回 | 工業の分類 | |
第5回 | 三大工業地帯 | |
第6回 | 新しい工業地域 | |
第7回 | 工業の問題点 | |
第8回 | 貿易 | |
第9回 | 8地方 | 日本のすがた・地図のよみとり |
第10回 | 九州地方 | |
第11回 | 中国・四国地方 | |
第12回 | 近畿地方 | |
第13回 | 中部地方 | |
第14回 | 関東地方 | |
第15回 | 東北地方 | |
第16回 | 北海道地方 |
歴史分野
No. | タイトル | |
第17回 | 古代 | 大昔のくらし・むらからくにへ |
第18回 | 天皇中心の国家をめざして | |
第19回 | 貴族による政治の時代 | |
第20回 | 中世 | 武士の登場と鎌倉幕府 |
第21回 | 南北朝の争乱と室町幕府 | |
第22回 | 戦国の世から天下統一へ | |
第23回 | 近世 | 江戸幕府の成立と幕藩体制 |
第24回 | 都市の発達・江戸の三大改革 | |
第25回 | 黒舟来航から幕府の滅亡へ | |
第26回 | 近代 | 明治維新と立憲国家の成立 |
第27回 | 日清・日露戦争と不平等条約の改正 | |
第28回 | 大正デモクラシー・第一次世界大戦 | |
第29回 | 昭和の戦争と敗戦 | |
第30回 | 戦後の日本のあゆみ |
公民分野
No. | タイトル | |
第31回 | 政治 | 日本国憲法の三大原則 |
第32回 | 国会のしくみ | |
第33回 | 内閣・裁判所のしくみ | |
第34回 | 三権分立・選挙制度 | |
第35回 | 地方自治・地域の発展 | |
第36回 | 財政と社会保障制度 | |
第37回 | 経済 | 経済・情報化社会 |
第38回 | 地球環境と日本の自然・文化遺産 | |
第39回 | 国際社会 | 世界のすがた |
第40回 | 世界の国々 | |
第41回 | 国際連合・国際組織 | |
第42回 | 国際紛争と国際社会の課題 |